2013年1月1日火曜日

近未来ミステリー小説「闇夜の占い師、黒と白」0001頁

西暦2036年帝国7年10月22日夜、私(杉並圭一郎22歳、帝国芸術大学油絵科2年、一浪、一留)は夜7時頃大学のある吉祥寺の雑踏をアルバイト先の古本屋から歩いて10分程のところにあるアパートに向かう途中、夕飯を食べられるレストランを探しながら歩いていた・・・

持ち歩いているカーキ色のかばんには筆箱とアンリ・ミショーの詩集と自費出版の小説短篇集3冊、100円玉3枚、10円玉2枚、5円玉1枚、1円玉3枚が財布ではなくバラで入っていて時々チャリンという音がする。

今日はどうゆう訳か雑踏に警官が大勢居る・・・何か事件でも有ったのだろうか?・・・聞き込みや現場検証をしているようだ・・・刑事らしき人が「犯人は金属らしき物を持っている」と言っていた・・・悪いことをしていなくても警官が居ると何か聞かれたり、捕まえられるのではとビクビクする・・・

今日は帝国芸大芸術祭が近いので沢山の学生が遅くまで作業をしていた。また学食もかなり遅くまでやっている様だ・・・私は現金が300円ちょっとしかないので大学の学食に向かった・・・

土の道を歩いていると何か光る物が落ちていた・・・何かのメダルの様だ・・・2枚はゲームセンターのメダルで、もう一枚の5センチ程もある大きなメダルはキリストか女神のような髪の長い人物が描かれた古びた外国の古銭の様だった・・・その大きな古銭を丁寧に泥を取り除いてかばんに入れた・・・

もう暫く歩いているとまた警官が大勢たむろしていた・・・私は今度こそ呼び止められないかとビクビクしながら歩いていたら・・・案の定呼び止められた・・・「ちょっと君、そのかばんの中を見せてくれるかい?」とその警官が言った・・・かばんを開けようとするとその警官は向こうへ行ってしまった・・・かばんの金属音にその警官は気付いたのだろう・・・とにかくその場は何事もなく通り過ぎた・・・

私は翌日になると昨日の外国の古銭の事が気になりだしてアルバイト先の古本屋で古銭の本を読んだり、図書館に調べに行ったりした・・・しかし1週間調べてみてもどこのなんの古銭なのかあるいは古銭ではないのか分からずじまいだった・・・

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