2025年7月26日土曜日

■ SPA化とは?


◉ 定義:

「SPA化」とは、WebサイトやWebアプリを**Single Page Application(単一ページアプリケーション)**にすることを指します。

従来のWebアプリ(MPA: Multi Page Application)は、リンクをクリックするたびに新しいHTMLページをサーバから受け取って表示します。
一方SPAは、最初に1つのHTMLファイルを読み込み、あとはJavaScriptで必要なデータやUIを部分的に動的更新する方式です。


■ 技術的特徴

項目 MPA(従来) SPA(モダン)
表示 ページごとに再読み込み ページ遷移なしでDOM書き換え
技術 サーバー側中心(PHP、Railsなど) クライアント側中心(React, Vueなど)
データ取得 HTMLに含めて返す JSONでAPI経由取得
SEO 強い(Googleに優しい) 弱い(ただし工夫すれば対応可)
UX 再読み込みで遅く感じる 軽快でアプリ感覚

■ 雑学:SPAの起源と名付けの裏話

SPAという概念は2000年代前半にはすでに存在していて、Google Maps(2005年)やGmail(2004年)はその走りです。

実はこの概念、「SPA」という名称が定着したのは意外と遅く、2009年ごろにオライリー本や開発者ブログで普及し始めました。

  • 名前の由来は「Single Page」で「Application」だからSPA。

  • ただし日本語では「温泉(Spa)」と誤解されることも(笑)


■ SPAの業界トレンドと裏話

◉ なぜ企業はSPA化する?

  • モダンなUI/UXを提供したい(インスタやTwitter風)

  • スマホアプリとコードを共有したい(React Nativeなど)

  • サーバー負荷を減らしたい(APIで分散処理)

でも現実は…

🔧「社長がReactって言ってたから」
🔧「求人がVue使える人ばっかり来るから」
🔧「Rails遅いって怒られた」

…という非技術的な理由でSPA化が始まることも多いんです。


◉ 実際にSPA化して困ること

  1. SEOが死ぬ問題
     → JSで描画されるため、クローラーが内容を読み取れない
     → → 解決法:SSR(Next.jsなど)やプリレンダリング

  2. 初期表示が重い
     → JavaScriptの塊を最初に全部読まされる

  3. セキュリティ的に気をつけることが増える
     → 認証、ルーティング、状態管理、全てクライアントで制御


■ 業界あるあるエピソード

① エンプラ案件で無理やりSPA化

官公庁向け業務システムをVueでSPA化 → 「戻るボタンが効かない」「PDF出力ができない」「IE対応どうするんですか?」で炎上。

② 「React使えばなんでも高速化できる」と勘違い

社内ポータルをReactでSPA化したが、元が単なるリンク集だったため逆に遅くなった話。
→ 「技術は正義じゃなく、適材適所」と痛感。


■ SPA化の未来

現在はSPA vs MPAではなく、SPA + SSR + ハイブリッドの時代へ。

  • Next.js / Nuxt.js:SPAの良さ+SSRのSEO対応

  • SvelteKit / Astro:軽量で高速なSPA/MPAミックス

  • Qwik:ページを表示してから必要なJSだけを読み込む"遅延実行型"SPA(新世代)


■ まとめ

まとめポイント 内容
SPA化とは ページ遷移せずに動的に画面更新する手法
目的 UX向上、スピード感、API分離
注意点 SEOや初期速度の課題あり
雑学 GmailやGoogle Mapsが原型、でも当初は名前がなかった
裏話 トレンドに踊らされて炎上することも

■ 最後に一言:SPAは「万能薬」ではない

SPAは適切な場面で使えば非常に強力ですが、静的ページやSEOが重要なサイトにはMPAの方が向いていることも。

「SPA化するかどうか」は、**技術の流行ではなく、課題と目的に対するベストな手段か?**で判断するのがプロの選択です。


さらに深掘りしたい場合、React vs Next.js vs Astroなどの比較や、具体的なコードベースのSPA構築もお手伝いできます。必要であればお申し付けください。

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