アレクサンドル・グロタンディーク
もちろんです。グロタンディークの理論は抽象的なので、「何を見ると理解しやすいか」という視点で画像を集めると、とても面白くなります。
① アレクサンドル・グロタンディーク本人
見るポイント
- 若い頃は常に黒板の前で講義している写真が多い
- 数学界のスターだった1960年代
- 晩年は山奥で隠遁生活を送ったため写真は少ない
- 長髪・ひげ姿の写真は晩年のもの
② IHÉS(フランス高等科学研究所)
ここが現代数学の「シリコンバレー」のような場所でした。
ここで
などが毎週議論されました。
1960年代には世界中の若い数学者がここへ集まり、「数学の中心地」と呼ばれるほどでした。
③ EGA(Éléments de Géométrie Algébrique)
グロタンディーク最大の著作です。
見るポイント
- 分厚いフランス語の専門書
- 「現代代数幾何学の聖書」と呼ばれることもある
- 当初は13巻構想でしたが、実際に出版されたのは主に第4巻までで、その後の内容はSGAに引き継がれました。
④ SGA(Séminaire de Géométrie Algébrique)
毎週行われた伝説のセミナーです。
数学者の間では
「全部読めたら一流」
と言われるほどの膨大な資料です。
現在でもPDF化され、多くの研究者が参照しています。
⑤ スキーム理論のイメージ
実際の研究では
このような
- Spec(A)
- 点と素イデアル
- 射(morphism)
などの図を使って議論します。
一般向けの解説では「図形を一般化した空間」というイメージ図がよく使われます。
⑥ ヴェイユ予想とピエール・ドリーニュ
グロタンディーク自身はヴェイユ予想の最終段階を証明できませんでしたが、
弟子ともいえるピエール・ドリーニュが1974年に最後の難関を突破しました。これはグロタンディークが築いたエタール・コホモロジーなどの理論を基盤としていました。
⑦ モチーフ理論のイメージ
この分野では
- Hodge理論
- エタール・コホモロジー
- de Rhamコホモロジー
などが一つの中心(モチーフ)につながるイメージ図がよく描かれます。
これは
「すべてのコホモロジーを統一したい」
というグロタンディークの夢を表した図です。
数学者だけがニヤリとする「聖地」
もし数学ファンなら、次の写真も探してみる価値があります。
- 黒板いっぱいに書かれたSGAの講義風景
- IHÉSの森の中にある建物
- EGAの初版本
- グロタンディークが講義している写真
- ドリーニュのフィールズ賞受賞時の写真
- ヴェイユ(André Weil)とセール(Jean-Pierre Serre)の写真
これらは、20世紀後半の代数幾何学革命を象徴する「歴史的な1枚」として、数学史でも非常に有名な写真群です。
この動画のテーマは、**「グロタンディークは何を発明したのか」ではなく、「数学そのものの見方を変えた人物だった」**という点です。
実際、数学者の世界では「定理を1つ証明した人」よりも、「新しい言語を作った人」の方が影響力が大きいことがあります。グロタンディークはまさに後者です。
まず、この動画の要点
動画では大きく次の流れになっています。
- グロタンディーク以前の代数幾何学
- スキーム理論の誕生
- エタール・コホモロジー
- モチーフという壮大な構想
- ヴェイユ予想への道
- 現代数学・理論物理への影響
これだけ見ると専門用語ばかりですが、本質は非常にシンプルです。
「問題を解く」のではなく、
問題が自然に解ける世界を作ってしまった。
これがグロタンディークです。
雑学① 「IQ」ではなく「抽象化能力」が桁違い
数学者の間では
「100人に1人の天才」
ではなく
「100年に1人」
とも言われます。
面白い逸話があります。
セミナーで誰かが
「この場合は例外があります」
と言うと、
グロタンディークは
「じゃあ例外が存在しないように定義を変えましょう。」
と言ったそうです。
普通の数学者は
例外を処理する
グロタンディークは
例外が存在しない世界を作る
発想が逆なんです。
業界話① 数学者は「計算」が好きではない
一般人は
数学=計算
と思います。
しかし研究数学では
実は
計算は負け
という感覚があります。
例えば
高校数学なら
「積分を計算できた!」
ですが
研究数学では
「そんな面倒な計算を毎回する理論はダメ」
になります。
理想は
一行で終わる理論
です。
グロタンディークは
この
「計算を理論に置き換える」
ことを極限まで推し進めました。
スキーム理論とは何なのか
動画で一番重要なのがここです。
昔の幾何学では
円
放物線
楕円
など
「図形」
を研究していました。
ところが
整数の世界でも
図形みたいな構造があることが分かってきます。
しかし
従来の図形では表現できません。
そこで
グロタンディークは
「図形とは何か」
を定義し直しました。
これが
スキーム(Scheme)
です。
つまり
図形を広げた
スーパー図形
みたいなものです。
雑学② 最初は誰も理解できなかった
グロタンディークは
IHÉS(フランス高等科学研究所)
で毎週何百ページもの講義録を書きました。
その有名なシリーズが
Éléments de Géométrie Algébrique(EGA)
です。
ページ数は
数千ページ。
さらに
SGA(Séminaire de Géométrie Algébrique)
まで合わせると
一万ページ近い
とも言われます。
数学者ですら
「全部読んだ人はいない」
という冗談があります。
業界話② 「グロタンディーク以前・以後」
数学には
たまに
時代を分ける人物がいます。
例えば
そして
20世紀では
グロタンディーク。
実際
現代代数幾何は
ほぼ
グロタンディークの言葉
で書かれています。
今の大学院生は
彼が作った概念を
「当たり前」
として学びます。
これは非常に珍しいことです。
エタール・コホモロジーは何がすごい?
動画では
ヴェイユ予想との関係が説明されています。
実は
昔は
コホモロジーという道具は
連続的な図形
にしか使えませんでした。
ところが
有限体上では
連続性がありません。
普通なら
「使えない」
となります。
しかし
グロタンディークは
「じゃあ新しいコホモロジーを作ればいい」
と考えました。
それが
エタール・コホモロジー
です。
この発想が
後に
ドリーニュによるヴェイユ予想の証明
へとつながります。
雑学③ グロタンディーク自身はフィールズ賞をあまり気にしていなかった
1966年
フィールズ賞を受賞します。
ところが
授賞式が開かれたのは
当時のソ連。
彼は
ソ連の人権問題への抗議として
授賞式を欠席しました。
このあたりも
かなり型破りな人物でした。
業界話③ 「モチーフ」は未完成のまま伝説になった
数学者なら
誰でも知っている言葉があります。
モチーフ(Motives)
これは
グロタンディークが
「すべてのコホモロジーを統一する究極理論」
として構想したものです。
しかし
彼自身は完成させませんでした。
その後
数十年かけて
多くの数学者が
少しずつ形にしています。
つまり
現代数学は
まだ
グロタンディークの宿題
を解いている最中なのです。
理論物理との関係
動画でも少し触れられています。
近年
特に
- 弦理論
- ミラー対称性
- トポロジカル量子場理論
- 幾何学的ラングランズ対応
などでは
グロタンディークの概念が自然に現れます。
面白いことに
彼自身は
物理学のために数学を作ったわけではありません。
しかし
最も抽象的な数学が、
数十年後に
最先端の理論物理で役立つようになったのです。
雑学④ 晩年は完全に学会を離れた
1970年代になると
軍事研究への反対や環境問題への関心を強め、
IHÉSを去ります。
その後は南フランスで隠遁生活を送り、
晩年には研究者との交流もほとんど絶ちました。
さらに、自身の論文を図書館から引き上げようとするなど、強い信念に基づいた行動でも知られています。
この動画をもっと面白く見るポイント
動画の専門用語を一つひとつ理解しようとすると難しく感じますが、むしろ注目してほしいのは
発想の転換です。
- ニュートンは「微積分」という新しい言語を作った。
- アインシュタインは「時空」の見方を変えた。
- グロタンディークは「空間」の概念そのものを書き換えた。
だから数学者たちは彼を「優れた問題解決者」ではなく、
数学のOSをアップデートした人物と評することがあります。
このため、彼の業績は特定の定理だけでなく、その後の何世代もの数学者が使う「共通言語」となり、現代の代数幾何学・数論・表現論・さらには理論物理にまで深い影響を与え続けています。
彼の、理論を、数式で、説明してください、