とても良い視点です。
結論から言うと 「あります。しかも“今だからこそ”あります」。
ただし、TRONの良い所は そのままLinuxに輸入できるもの と 思想レベルでしか吸収できないもの に分かれます。そこを整理しながら、
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何を学ぶべきか
-
どこにコミット余地があるか
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なぜ今それが“現実的”なのか
を、雑学・業界話込みで解説します。
① TRONの「良い所」はどこにあるのか(誤解されがちな点)
まず前提として。
TRONの本質は
-
「速いOS」でも
-
「日本製OS」でもなく
👉 リアルタイムを前提に、現実世界を直接制御する思想 です。
坂村建氏のTRON思想の核心は:
| TRON的思想 | Linux的現実 |
|---|---|
| 時間は資源(遅延=バグ) | 時間はベストエフォート |
| 割り込み・優先度が絶対 | フェアネス重視 |
| 小さく、明示的 | 巨大・汎用 |
ここを理解しないと
「LinuxにRTパッチ入れればTRONでしょ?」
という浅い話になってしまいます。
② Linuxが「TRONを吸収できる余地」はどこか
結論:3つあります
① リアルタイムLinux(PREEMPT_RT)の“本気運用”
何を学ぶ?
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Linuxスケジューラ内部
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CFS
-
RTスケジューラ(SCHED_FIFO / RR)
-
-
割り込み処理(IRQ / softirq / threaded IRQ)
-
PREEMPT_RTパッチの中身
なぜ重要?
業界話をすると、
RT Linuxは「動く」けど「信用されてない」
理由は単純で、
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理論を理解してる人が少ない
-
「本当に最悪遅延が何µsか」説明できない
TRON界隈は逆で、
「最悪ケースを説明できないOSは使わない」
この 文化ギャップ を埋められる人材は、実は世界的に不足しています。
コミット余地
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PREEMPT_RTのバグ修正
-
レイテンシ測定ツールの改善
-
ドキュメント整備(これが一番歓迎される)
👉 これは完全にLinux本流への貢献
② 「時間をAPIとして扱う」設計思想の導入
TRONは「時間」をOSの一級市民として扱います。
Linuxはどうか?
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sleep() -
timerfd -
epoll + timeout
…全部「後付け感」があります。
学ぶべきもの
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Linux Timer Subsystem
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High Resolution Timers (hrtimer)
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POSIX realtime extensions
TRON的発想での貢献例
-
時間制約付きI/O APIの設計提案
-
Deadline Scheduling(SCHED_DEADLINE)の改善
-
ドキュメント・設計思想の整理
雑学ですが、
SCHED_DEADLINEは実質「TRON的スケジューリング」
なのに、使われていません。
理由は「難しすぎて説明できない」から。
👉 説明できる人がいれば、採用される
③ IoT・組み込みLinuxでの“思想輸入”
坂村建氏がTRONを捨てていない理由はここです。
現実
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LinuxはIoTで勝った
-
でも 設計思想はクラウド寄り
-
組み込み現場は「仕方なくLinux」
学ぶべき技術
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Yocto / Buildroot
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Device Tree
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Boot time最適化
-
メモリフットプリント削減
TRON的に効くポイント
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起動時間保証
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割り込み遅延の測定
-
静的構成(動的リンクを減らす)
業界話:
自動車・産業機器では「Linux嫌い」は今も多い
でも
「TRONは古い」とも思われている
この中間を埋められるのが
👉 TRON思想を理解したLinuxエンジニア
③「じゃあ個人は何から始める?」
現実的ロードマップ
ステップ1(思想)
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TRON仕様書(μITRON)を読む
-
「なぜこのAPIなのか」を考える
ステップ2(Linux内部)
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Linux Kernel Development(O’Reilly)
-
kernel/sched/を読む(全部じゃなくて良い)
ステップ3(実験)
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PREEMPT_RTカーネルをビルド
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遅延測定プログラムを書く
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「最悪値」を説明できるようにする
ステップ4(貢献)
-
ドキュメント修正
-
テストコード
-
メーリングリストで議論
④ 雑学:なぜ「TRONは負けて、思想は勝った」のか
-
Windows / Linux → 市場で勝利
-
TRON → 時間・組み込み思想で勝利
実は、
-
カメラ
-
家電
-
産業機器
の中には 今もTRONの血統 が流れています。
Linuxはそれを
「後追いで吸収している」
だから今は、 「TRONを理解しているLinux貢献者」 という立場が、歴史的に一番美味しい。
⑤ まとめ(本音)
-
LinuxはTRONを吸収できる
-
だが コードより思想が重要
-
「リアルタイムを説明できる人」は希少
-
今からでも十分コミット余地あり
もし次に進むなら:
👉 「TRON的に見て、Linuxのここはダメ」
👉 「じゃあどう直す?」
この視点で1テーマ深掘りすると、
かなり“沼”で面白いですよ 😄
👉 「TRON的に見て、Linuxのここはダメ」 👉 「じゃあどう直す?」 ーーーーー これについても、雑学や業界話を交えながら、解説してください。
いいですね、ここからが本当にTRON脳になる領域です。
少し辛口になりますが、それがTRON的視点なのでご容赦を。
① TRON的に見て「Linuxのここがダメ」
まず大前提。
TRONは「最悪を保証するOS」
Linuxは「平均を良くするOS」
この価値観の衝突が、すべての「ダメ」に繋がります。
❌ ①「最悪ケースが説明できない」
Linuxの問題点
Linux開発者にこう聞くと、だいたいこう返ってきます。
「だいたい◯µsくらいです」
「普通は問題になりません」
「理論上は…」
TRON界隈ではこの時点で失格です。
TRON的ツッコミ
「“だいたい”でロボットを動かすな」
割り込み遅延
スケジューリング遅延
I/O完了遅延
これらが数式で説明できないのは、OSとして未完成。
業界話
-
自動車
-
医療機器
-
鉄道制御
では、Linuxは今も「信用されていない」
❌ ② 動的すぎる(=予測不能)
Linuxの問題点
-
動的メモリ確保
-
動的ロード
-
キャッシュの気まぐれ
全部「賢い」けど、予測できない。
TRON的価値観
「賢さは敵。愚直さは正義」
μITRONでは
-
タスク数は事前に決める
-
メモリは静的
-
優先度は絶対
Linuxはこれを
「窮屈」「古臭い」
と切り捨てた。
❌ ③ 「時間」が二級市民
Linuxの現実
時間は
-
sleep() -
timeout
という「補助オプション」。
TRONの現実
時間は
-
タスク
-
割り込み
-
メッセージ
と同列の資源。
雑学
坂村建氏は
「OSは“時間管理装置”だ」
と言っています。
Linuxはそこから逃げ続けています。
❌ ④ デバッグ不能な複雑さ
Linuxの闇
-
状態が多すぎる
-
ロック地獄
-
RCU魔境
TRON的視点
「全部追えない=安全でない」
TRONは
-
状態が少ない
-
状態遷移が紙に書ける
Linuxは
「読めないけど動く」
② じゃあ「どう直す?」(現実的に)
ここが重要です。
「LinuxをTRONにする」ことは不可能。
でも 「TRON思想を注入する」ことは可能。
① 最悪ケースを「測れる」ようにする
やるべきこと
-
IRQ遅延の計測を標準化
-
スケジューラ遅延の可視化
-
ブート時に遅延上限を表示
TRON的思想
「測れない保証は嘘」
現実的コミット
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latencytop系ツールの再設計 -
ftrace / perf のUI改善
-
ドキュメント整備(←超歓迎)
② 静的構成モードの“格上げ”
今のLinuxにもあります:
-
CONFIG_PREEMPT_RT -
CONFIG_NO_HZ_FULL -
isolcpus
でも扱いは
「マニア向けオプション」
TRON的提案
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「Deterministic Mode」を正式プロファイル化
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使うと自動で
-
動的ロード禁止
-
動的周波数制御オフ
-
メモリ事前確保
-
業界話
企業は
「カーネルオプション1万個」
が一番嫌い。
③ 時間制約APIを一級市民にする
例
read(fd, buf, size, deadline);
失敗理由が
-
ETIMEOUT -
EDEADLINE_MISS
と明示される世界。
実は
-
SCHED_DEADLINE
-
timerfd
は存在している。
が、思想として統合されていない。
④ 「小さく理解できるLinux」を作る
TRON的処方箋
-
機能削減
-
コード削減
-
状態削減
雑学
Linusはよく言います:
「コードはゴミになる」
坂村氏は逆:
「コードは契約書」
この文化差が根深い。
③ なぜ今、これが「現実的」なのか
時代がTRONに追いついた
-
IoT
-
自動運転
-
ロボティクス
-
エッジAI
全部
「遅れたら終わり」
クラウド的Linuxでは耐えられない。
業界裏話
大手メーカーでは今も
「制御はTRON系、UIはLinux」
という二重構成が多い。
④ まとめ(刺さる一言)
-
Linuxは賢すぎる
-
TRONは正直すぎる
-
世界は今「正直さ」を必要としている
だから次の問いはこれです:
👉 「どこまで“不便”を受け入れられるか?」
そこを設計できる人間が、
次のOS史を少しだけ動かします。
この沼、まだまだ深いですよ。
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