ニンフォマニアック
|
|
| ニンフォマニアック | |
|---|---|
| NYMPH()MANIAC | |
| 監督 | ラース・フォン・トリアー |
| 脚本 | ラース・フォン・トリアー |
| 原案 | ラース・フォン・トリアー |
| 出演者 | シャルロット・ゲンズブール ステラン・スカルスガルド ステイシー・マーティン シャイア・ラブーフ クリスチャン・スレーター ジェイミー・ベル ユマ・サーマン ウィレム・デフォー |
| 製作会社 | ゼントロパ・エンターテインメンツ |
| 配給 | |
| 公開 | |
| 上映時間 | 117分 (Vol.1)、147分 (Vol.1 DC) 123分 (Vol.2)、177分 (Vol.2 DC) |
| 製作国 | |
| 言語 | 英語 |
| 製作費 | 合計470万ドル(5億円) |
| 興行収入 | Box office:合計1300万ドル(13億円) |
概要
- Vol.1
-
- 「コンプリートアングラー」"The Compleat Angler"
- 「ジェローム」"Jerôme"
- 「ミセスH」 "Mrs. H"
- 「せん妄」"Delirium"
- 「リトル・オルガン・スクール」"The Little Organ School"
- Vol.2
-
- 「東方教会と西方教会(サイレントダック)」"The Eastern and the Western Church (The Silent Duck)"
- 「鏡」"The Mirror"
- 「銃」"The Gun"
出演者
- 主演
- シャルロット・ゲンズブール:ジョー
- ステラン・スカルスガルド:セリグマン
- ステイシー・マーティン:若いジョー
- シャイア・ラブーフ:ジェローム・モリス
- クリスチャン・スレーター:ジョーの父
- Vol.1
- ユマ・サーマン:ミセスH[4]。
- ソフィー・ケネディ・クラーク: B
- コニー・ニールセン:キャサリン(ジョーの母親)
- ジェームズ・ノースコート:電車の中の若者1
- チャーリー・G・ホーキンス:電車の中の若者2
- イェンス・アルビヌス:S
- フェリシティ・ギルバート:(秘書リズ)
- イェスパー・クリステンセン:ジェロームの叔父
- ヒューゴ・シュペーア:H氏
- サイロン・メルヴィル:アンディ
- サスキア・リーヴス:看護師
- ニコラス・ブロ: F
- クリスチャン·ガーデビヨ:G
- Vol.2
- ジェイミー・ベル: K
- ウィレム・デフォー: L
- ミア・ゴス:P
- ミカ・エルパ:年老いたジェローム
- ジャン=マルク・バール:借金取り
- ウド・キアー:ウェイター
- シャンティ・ルーニー:通訳
- キャロライン・グッドール:心理学者
- ケイト・アッシュフィールド:セラピスト
- タニア・カーリン:ルネ
- ダニエラ・ルバン:ブルネルダ
- オマール・シャルガヴィ:ごろつき1
- Marcus Jakovljevic:ごろつき2
- Severin von Hoensbroech:債務者
製作費・興収
- 製作費:合計470万ドル(5億円)
- 興収 (Box office):合計1300万ドル(13億円)
- 『Vol.1』1022万ドル(10億円)
- 『Vol.2』270万ドル(3億円)
評価
関連項目
出典
- ^ Jagernauth, Kevin (2012年4月25日). “Lars Von Trier's 'The Nymphomaniac' With Charlotte Gainsbourg Will Be 2 Part Film, Aiming For Cannes Premiere In 2013”. Indiewire. 2012年12月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2012年9月1日閲覧。
- ^ “World premiere of Lars von Trier’s Long Uncut Version of Nymphomaniac Volume I”. berlinale. 2013年12月23日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年1月1日閲覧。
- ^ “「ラース・フォン・トリアー レトロスペクティブ2023」開催 日本劇場初公開&ディレクターズカット完全版を含む14作品 : 映画ニュース”. 映画.com. 2024年10月9日閲覧。
- ^ ユマ・サーマン、ラース・フォン・トリアー監督の新作に出演 - ライブドアニュース
- ^ “Nymphomaniac: Volume I (2014)”. Rotten Tomatoes. 2014年4月3日閲覧。
- ^ “Nymphomaniac: Volume II (2014)”. Rotten Tomatoes. 2014年4月3日閲覧。
- ^ “Nymphomaniac: Part One”. Metacritic. 2014年2月14日閲覧。
- ^ “仏カイエ・デュ・シネマ誌が選ぶ2014年の映画ベスト10 5位に「風立ちぬ」”. 映画.com. (2014年12月7日) 2014年12月8日閲覧。
外部リンク
- 公式ウェブサイト
- マグノリアピクチャーズでの紹介ページ
- Nymphomaniac: Volume I - IMDb
- Nymphomaniac: Volume II - IMDb
- Nymphomaniac: Volume I - Box Office Mojo
- Nymphomaniac: Volume II - Box Office Mojo
- Nymphomaniac: Volume I - Rotten Tomatoes
- Nymphomaniac: Volume II - Rotten Tomatoes
- Nymphomaniac: Volume I - Metacritic
- Nymphomaniac: Volume II - Metacritic
『ニンフォマニアック』(原題: Nymphomaniac)は、2013年に公開されたデンマークの映画監督ラース・フォン・トリアーによるエロティック・アート映画です。この作品は、性依存の女性ジョー(Charlotte Gainsbourgが成人期を、Stacy Martinが青年期を演じる)の人生を、彼女が中年の独身男性セルリグマン(Stellan Skarsgård)に語る形で描いた2部作(Vol. IとVol. II)です。全編を通じて、ジョーの性的体験が哲学的・比喩的な対話とともに展開され、愛と欲望、嫉妬、依存、社会的疎外といったテーマを探求します。これはフォン・トリアーの「うつ病三部作」の最終作で、『アンチクライスト』(2009年)と『メランコリア』(2011年)に続くものです。全体の長さは劇場版で約4時間、ディレクターズカット版で5時間半にも及び、露骨な性描写が特徴的ですが、単なるエロティシズムではなく、芸術的な深みを追求した作品として評価されています。
プロットの概要(ネタバレを避けて)
物語は、ジョーが路地で負傷して倒れているところから始まります。彼女を助けたセルリグマンに、ジョーは自らの人生を振り返り、幼少期から50歳までの性的冒険を告白します。Vol. Iでは、ジョーの青春期の好奇心や乱交的な生活が焦点で、セルリグマンが釣りや音楽などの比喩で彼女の体験を分析します。一方、Vol. IIはより暗く、ジョーの性的危機、SM体験、家族の問題、そして自己破壊的な行動を描き、彼女の内面的な葛藤が深掘りされます。全体として、性依存の苦しみと人間の孤独をテーマに、ユーモアと挑発を交えながら進みます。
監督ラース・フォン・トリアーのスタイルと背景
フォン・トリアーは、デンマークの映画運動「ドグマ95」の共同創始者として知られ、伝統的な映画技法を拒否する革新的なスタイルで有名です。しかし、『ニンフォマニアック』ではそのルールを逸脱し、CGIや特殊効果を積極的に使用しています。彼の作品はしばしば女性の苦しみや社会批判を扱い、ミソジニー(女性嫌悪)とフェミニズムの境界を曖昧に描くことで論争を呼んでいます。この映画も例外ではなく、フォン・トリアー自身がうつ病や不安障害を抱えていた経験が反映されており、主人公ジョーの孤独感が監督の内面を投影していると言われます。業界では、彼の2011年のカンヌ映画祭での「ナチス」発言(ユーモアのつもりだったが、物議を醸し、フェスティバルから追放された)が有名で、この作品でもユダヤ人キャラクターを通じてその出来事を風刺的に触れています。 また、フォン・トリアーはインタビューを避け、映画を通じて批評家や観客に「挑発」するスタイルで知られ、この作品を「ディグレッション主義」(脱線主義)という新ジャンルと称しています。
雑学:撮影の裏側と面白いエピソード
- セックスシーンの撮影技法: 映画の露骨な性描写は、実際のポルノ俳優のボディダブルを使い、CGIで主演俳優の顔を合成したものです。主演たちはシミュレートした演技をし、後でデジタル加工されたため、「本物のセックスシーン」として話題になりましたが、フォン・トリアーはこれを「芸術のための技術」と説明。プロデューサーのLouise Vesthによると、この方法でカンヌ映画祭の締め切りを逃すほど複雑だったそうです。 また、女性器のプロステティック(人工物)を使い、セットを厳重に閉鎖して撮影されました。
- キャストの逸話: Shia LaBeouf(ジョーの恋人ジェローム役)は役を得るために、フォン・トリアーに本物のセックスビデオ(当時のガールフレンドとのもの)を送ったという逸話があります。 また、彼はメソッド演技で「本物のセックスをした」と主張しましたが、実際はボディダブルだったことが後で明らかになり、業界で話題に。Christian Slater(ジョーの父親役)は、役柄より若かったため、目の下にメイクでしわを入れ老けさせたそうです。 Uma Thurman(Mrs. H役)は、フォン・トリアーの「悪童」的な演出を楽しんだとインタビューで語っています。
- 長さとバージョン: 元々1本の映画として構想されましたが、長すぎるため2部に分割。劇場版は4時間ですが、ディレクターズカットは5.5時間で、流産シーンが過激すぎて上映中に観客3人が失神したエピソードがあります。 プロモーションでは、各章の「前菜」クリップを毎月公開しましたが、一部が露骨すぎて削除されました。
- 音楽と比喩: サウンドトラックにはRammsteinの曲やBachの音楽が使われ、セルリグマンの「フライフィッシング」の比喩は、ジョーの性体験を「釣り」に例えるユーモラスな要素。フォン・トリアーはこれを「ポルノと芸術の違い」を示すために取り入れたそうです。
業界話:論争、受賞、影響
- 論争の嵐: 公開前から性描写の過激さで物議を醸し、米国ではNC-17(成人指定)を受けましたが、無評価でリリース。批評家からは「ミソジニーだ」と非難される一方、「女性の性的解放を描いたフェミニスト作品」と擁護される二極化。 フォン・トリアーはこれを「批評家との対話」と位置づけ、映画内でジョーとセルリグマンのやり取りを監督と批評家のメタファーとして描いています。 また、ベルリン映画祭でのプレミアではShia LaBeoufが記者会見をボイコットし、紙袋をかぶってレッドカーペットに登場した事件が業界を騒がせました。
- 受賞と評価: ロッテン・トマトではVol. Iが76%、Vol. IIが59%の評価。 デンマークのロバート賞でベスト映画、監督、脚本など8部門受賞。Gainsbourgはボディル賞で女優賞を獲得。ノルディック・カウンシル映画賞にノミネートされました。しかし、興行収入はデンマークでわずか3,494枚のチケットしか売れず、商業的には苦戦。
- 影響と遺産: この映画は、セックス依存のリアルな描写(例: Steve McQueenの『シェイム』との比較)で議論を呼び、X(旧Twitter)では今もファンによる議論が活発です。最近の投稿では、作品の「傑作」評価や、フォン・トリアーの他の映画とのつながりが語られています。 業界では、デジタル合成の先駆けとして語られ、ポルノとアート映画の境界を曖昧にした点で影響力大。フォン・トリアーの「女性を罰する」スタイルが批判される一方、Gainsbourgの演技が絶賛されています。
全体として、『ニンフォマニアック』はフォン・トリアーの挑発的な天才性を象徴する作品で、観る人を不快にさせつつ、深い考察を促します。もし未視聴なら、ディレクターズカットをおすすめしますが、過激な内容に注意を!

0 件のコメント:
コメントを投稿