2025年12月3日水曜日

🚉『横浜駅SF』と柞刈湯葉(いすかり ゆば)— 奇想天外な世界観とSF界の注目作家

横浜駅SF 横浜駅SF 全国版 (カドカワBOOKS) 単行本 – 2017/8/10 柞刈湯葉 (著), 田中 達之 (イラスト)   『横浜駅SF』(よこはまえきえすえふ)は、柞刈湯葉による日本ライトノベル。2015年にネット小説としてTwitter上で発表され、2016年6月に第1回カクヨムWeb小説コンテストSF部門大賞を受賞[2]。その後、書籍版がカドカワBOOKSKADOKAWA)で2016年12月に刊行された。2017年8月には番外編となる『横浜駅SF 全国版』が刊行された。 2017年の第38回日本SF大賞で最終候補作に残ったほか、『本の雑誌』が選ぶ「2017年上半期エンターテインメント・ベスト10」でも第8位にランクインしている[3]。『このライトノベルがすごい!』では2018年版で単行本・ノベルス部門第8位(新作1位)にランクインした[4]。『SFが読みたい! 2018年版』ベストSF国内篇では6位を獲得している[5]メディアミックスとして、2016年12月から2018年10月にかけ『ヤングエースUP』にてコミカライズ版(作画:新川権兵衛)が連載された[6]。 書籍化にあたって設定と用語の変更がされている[7]ため、以下では書籍版について述べる。

あらすじ

冬戦争と呼ばれる世界大戦からおよそ200年、本州はそのほとんどが増殖した横浜駅に覆われていた。横浜駅の外で生まれ育った三島ヒロトは、キセル同盟を名乗る男から5日間だけ横浜駅に入ることができる「18きっぷ」を手に入れ、横浜駅の中、エキナカへと赴く。 北海道から派遣された工作員やキセル同盟のリーダーと出会いながら旅を続けたヒロトは、横浜駅の始まりと真実を知り、そして横浜駅を終わらせる決断をする。横浜駅のない生活の為に農業を学んだヒロトが故郷へ帰ったころには、旅立ちから1年が過ぎていた。

登場人物

九十九段下

三浦半島のエキソトの岬にある村。横浜駅1415番出口の長い下りエスカレーターの下にあることから名づけられた。横浜駅から排出される廃棄物、船による漁や交易、わずかな農業によって生活している。
三島ヒロト
主人公。「エキソト」で生まれ育った青年。東山から「18きっぷ」を受け取ったことをきっかけに、横浜駅の中へと入る。
教授
物語から20年ほど前に現れた老人。幼いヒロトが発見したが彼は覚えていない。当初は言葉が通じず、意思疎通ができるようになったころには耄碌してしまい、「エキナカのラボで教授をしていた」ということしかわかっていない。横浜駅へ向かうヒロトに42番出口へ向かうよう告げる。

キセル同盟

人類の横浜駅からの解放を掲げる組織。スイカネットに干渉し掌握しようとしていたが、ある時メンバー全員のSuikaが不正認定され瓦解した。
東山
物語から1年ほど前に九十九段下に現れた男性。もともとは京都の左警察と呼ばれる自警団の末端構成員だが、賄賂を受け取りシドウと取引していたことから同盟に引き込まれた。エキソトの環境に耐えられずに衰弱し、ヒロトに18きっぷを渡し「リーダーを助けてほしい」と告げて死亡した。
二条ケイハ
元リーダー。甲府117階層で「根付屋」という店を営んでいる眼鏡をかけた女性。本来ならエキナカに居られないが、自身の構築したICoCarシステムで自動改札を欺いて生活している。父ケイジンの影響でスイカネットについての知見が深く、それがきっかけでキセル同盟のリーダーを務めることになった。
熊野シドウ
短編「瀬戸内・京都編」に登場。同盟設立以前からケイハと共に活動していた男性。瀬戸内海の小島で生活している。紀伊半島の小さな村で生まれ、ある出来事から村を出た後はかつて村で出会った二条ケイジンを探して京都に辿り着いた。煙草密売業に携わる中でケイハに出会い、彼女を中心とした新組織にキセル同盟と名付けた。

JR

冬戦争の中で生まれた統治を担う企業群。もともと一つの国営企業[8]だったが、戦争の長期化で分割民営化された。かつては全国に多数存在したが物語時点ではJR北日本とJR福岡が残るのみ。名称はJapan Rulerの略[9]

JR北日本

北海道を管轄するJR。青函トンネルをつたって侵入した横浜駅を撃退する高い技術力を持ち、本州に工作員アンドロイドを送り込むなど情報戦に努めている。
ユキエ
JR北日本の技術責任者。遺伝構造界キャンセラーやネップシャマイら工作員アンドロイドの開発者。ユキエの就任でJR北日本は北海道に侵入した横浜駅を押し戻す技術力を手にしたという。
ネップシャマイ
関東担当の工作員アンドロイド。細長い電光掲示板を持っており、発声できない時は文字で会話する。よくしゃべり、ヒロトにも自分が工作員であることを明かす。少しの間ヒロトと行動を共にするが、警察によってボディを破壊されてしまう。
短編「岩手編」では任地の関東へ向かう途中で、音信不通になったサマユンクルとヤイエユカルの捜索に携わる。
ハイクンテレケ
四国担当の工作員アンドロイド。同僚よりも性能の高い特別仕様のボディを持っている。襲撃に会って片脚を損傷し、下半身を取り外して給電所にいたため幽霊扱いされていた。充電に訪れたトシルに脚の応急修理をしてもらい、しばし行動を共にする。
短編「瀬戸内・京都編」では瀬戸内海を渡る途中で上陸した島でシドウに会う。
短編「岩手編」では能登半島でエキソトの調査をしている。サマユンクルのことを気にしている。
サマユンクル
短編「岩手編」に登場。東北担当の工作員アンドロイド。同世代の中で最も優秀で、ネップシャマイからは「天才」といわれる。任務中に突如消息を絶つ。
ヤイエユカル
短編「岩手編」に登場。東北担当の工作員アンドロイド。派遣された中では愚鈍なタイプらしい。サマユンクルと共に任務中に消息を絶つ。
留辺(るべ)
技術部二課所属の女性。ネップシャマイの担当技官。防衛部から2か月前に転属になったばかり。
帰山(かえりやま)
技術部二課所属の男性。ハイクンテレケの担当技官。なにかとハイクンテレケの身を心配しがち。

JR福岡

九州を管轄するJR。大陸に近いためもともと軍事色が濃く、関門海峡を越えようとする横浜駅と激戦を繰り広げている。
久保トシル
技術部門第四課所属の男性。武器開発の方針に嫌気がさし、会社の電気ポンプ銃を盗み出して無政府状態の四国へ渡った。道中で電動スクーターを拾得し、充電に立ち寄った給電所でハイクンテレケに出会う。終盤、自動改札に追われるヒロトの前に現れ、ヒロトからネップシャマイを受け取る。
大隈ハヤヒコ
情報部門第一課所属の男性。福岡でスイカネットの情報収集と解析に携わっている。常に何かしらの菓子を食べている。
短編「熊本編」では第三課に所属し、熊本でJR統合知性体の言語解読をしていたが、規律無視や勤務怠慢で最前線の福岡に異動になってしまう。
島原ミイカ
短編「熊本編」に登場。熊本の技術部門化学班に配属された新人社員の女性。非常に鼻が利く。社内で起きた殺人事件の捜査をさせられることになってしまう。
横井
短編「熊本編」に登場。人事部門に所属し新人研修を担当している男性。職権乱用が酷くめちゃくちゃな研修・逆らえば転勤と非常に評判が悪い。ある朝宿舎で殺害された状態で発見される。
黒木
短編「熊本編」に登場。技術部門化学班に所属する女性でミイカの先輩。

その他

二条ケイジン
ケイハの父。短編「瀬戸内・京都編」の回想では過去に京都を拠点に運送業を営んでおり、スイカネットに干渉して自動改札を使役していた。しかし裏社会の軋轢に巻き込まれ射殺されてしまった。
短編「群馬編」では青目先生の隣の部屋に暮らしている。
田中モドリ
短編「瀬戸内・京都編」の回想に登場する初老の女性。ケイハの母親の古い友人で身の回りの面倒を見ていた。キセル同盟の活動は関知していなかった。
青目先生
短編「群馬編」に登場する白髪の老人。浅間山北側の斜面で診療所を構えている。本名はエディ・シマザキ。呼び名は彼の瞳が青いことから。
キト
短編「群馬編」に登場する少女。浅間山が噴火した後に青目先生の居室に現れ、居ついてしまったため彼が保護している。

登場する機械

Corpocker-3型アンドロイド
JR北日本が開発した最新型アンドロイド。外見を子供に似せているため駅構造を欺くことができる。主記憶装置を搭載しており自律的に活動することができる。一日に2〜3時間反芻する必要がある。最高時速は特別仕様体で50Km/h、通常のボディだと20Km/h。OSはKitaca OS 4.2。
構造遺伝界キャンセラー
JR北日本が開発した対横浜駅兵器。局所的に逆位相遺伝界を照射することで照射された部分が非横浜駅化する。
自動改札
横浜駅の免疫システムでありSuika不正者を駅外に追放する存在。もともとは人間が冬戦争前に製造したロボット兵だったが、スイカネットが制御プログラムを上書きして横浜駅の治安維持を担うシステムに転用した。横浜駅外に出ると改札プログラムを終了し『通常モード』に移行し四足になるが横浜駅によって上位命令系統が消滅しているため自動的に『自己防衛フェーズ』に移行し人影を確認すると銃を発砲する。
JR統合知性体
冬戦争中に開発された人工知能。日本列島にあまねく存在するネットワークノード(駅)の過半数を敵側に物理的に押さえられない限り、知能としての信頼性を維持できるという頑健性が最大の長所。しかしネットワークノードへ衛星兵器からの攻撃や暴徒たちの攻撃が相次ぎ、人間の手による修復では自己を維持できないと悟りネットワークノードに自律的な修復機構を導入することを決定。物質構造の記憶と複製、そしてその伝播性を持つ量子場を利用した、知性体ネットワークの自己修復システムである構造遺伝界を生み出したが、そのテスト中に構造遺伝界を導入された横浜駅が増殖し始め、ネットワークの複雑性が知性を維持するのに不十分なサイズとなった時点で、統合知性体の知性としての活動は永遠に失われた。
電気ポンプ銃
冬戦争中に開発された武器。金属なら何でも弾になるため長期間補給なしでの戦闘が可能になり地上戦が全てゲリラ化した。最大出力にすれば人間を両断できるほどの威力を誇るが、構造遺伝界を含んだ横浜駅にはほとんど効果は無い。横浜駅時代の日本では主にJR九州が製造している。
18きっぷ
古代地層から発掘された一時入場券。Suikaをインストールしなくても5日間横浜駅に滞在できる。二人で使用すると期限が半分になる。
超電導鉄道
戦前につくられた鉄道。超電導物質は構造遺伝界と反発する性質があり構造遺伝界に感染しない。
逆位相遺伝界発振装置
横浜駅と接触させて発動させると、構造遺伝界に対し逆向きの位相を持つ遺伝界を発振しつづけ構造遺伝界を消滅させる。「非常停止ボタン」と書かれたステッカーが貼られている。
 
横浜駅sf 柞刈湯葉 について、雑学や業界話を交えながら解説してください。
ChatGPT:

『横浜駅SF』は、柞刈湯葉(いすかり・ゆば)による日本SF界でもかなり異色で、かつ“業界的にも面白い立ち位置”にある作品です。あらすじだけでなく、雑学や裏話、SF業界的な位置づけも交えて解説します。


① そもそも『横浜駅SF』ってどんな話?

一言でいうと――

「自己増殖して、有機的に進化してしまった“横浜駅”が、日本を侵食・支配している世界の物語」

です。

舞台は未来の日本。しかし「国家」や「都市」という概念はすでにほぼ意味を失っており、横浜駅が“生態系のように”膨張し続け、日本の大部分を覆ってしまっている世界になっています。

横浜駅はもはや単なる駅ではありません:

  • 壁や床が自動で生成される

  • 線路・ホームが勝手に増殖する

  • 独自の規則・経済・法が存在する

  • 人々は「駅のルール」に支配されている

  • 駅IDを持たない者は「不法侵入者」扱い

主人公は、横浜駅の外のスラムに住む若者で、横浜駅の内部に侵入し、そのシステムの中枢に迫っていくという展開になります。

ジャンル的には:

  • ディストピア

  • サイバーパンク

  • 異界迷宮モノ

  • システムSF

が融合したような作品です。


② 発想の元ネタ・雑学:なぜ「横浜駅」?

柞刈湯葉がこの作品を書いたきっかけは、「横浜駅で工事がずっと終わらないこと」だそうです。

横浜駅は現実でも

  • 改修工事が数十年続いた

  • 工事現場が迷路のよう

  • どこに何があるか分からない

という伝説的なカオス状態でした。

それを「もしこのまま駅が自己増殖し続けたら?」と、SF的に極端化したのがこの物語。

つまり:

現実のバグみたいな状況 → SF的誇張 → 世界そのものになる

という、非常にSFらしい発想です。

こういう「日常の違和感を極端化する」は、J.G.バラードやフィリップ・K・ディックにも通じる手法です。


③ 業界話:最初は「ネット小説」だった

これ、最初はなんと
**Web小説(個人サイトで公開)**です。

つまり:

商業作家でもなく
大手出版社でもなく
賞でもなく

「勝手にネットに公開されていた小説」が

  • Twitterで話題になる

  • SFファンの間で口コミが広がる

  • 早川書房(ハヤカワ)の目にとまる

  • 書籍化

  • 星雲賞候補にまでなる

  • 海外翻訳までされる

という、かなり夢のあるサクセスルートです。

SF業界的には:

「プロの世界でも、ネット発の才能を拾わないといけない」

という空気を一気に強めた、象徴的な作品でもあります。


④ ハードSFとバカSFの中間にいる特殊な立ち位置

『横浜駅SF』は、よく分類できない作品です。

  • ガチガチの物理・数学のハードSF → ではない

  • ふざけたギャグSF → でもない

  • 文学的な純文SF → 半分そう

  • ライトノベル → でもない

むしろ、

「世界観アイデアの暴力」

で押し切ってくるタイプです。

これは海外で受けた理由でもあり:

  • 中国

  • 欧米

で「クレイジーな日本SF」として紹介されました。

海外の読者にとっては
東京でもなく、新宿でもなく「横浜」が世界を支配しているのがかなり謎で面白いポイントだったようです。


⑤ 実はめちゃくちゃ「日本社会のメタファー」

この作品、奇抜に見えますが、中身はかなり社会批評的です。

横浜駅=

  • 官僚機構

  • 巨大企業

  • 都市システム

  • ルールに縛られた社会

  • 終わらない再開発

  • 自動化と管理社会

のメタファーになっています。

駅に適応できる人だけが生き残る
適応できない人は排除される

という構造は、

  • 日本の就活

  • 学歴社会

  • 終身雇用システム

  • 管理国家化

への風刺にもなっています。

つまり、

「駅に支配された人間」ではなく
「システムに支配された現代人」

を描いた小説でもあるんです。


⑥ 柞刈湯葉という作家の面白さ

柞刈湯葉さんは、かなり異色です。

  • 大学では理系

  • ロボット工学・AI分野に関係

  • プログラミング的思考が強い

  • なのに文章は詩的

という、かなりSF向きの人材。

この作品に見られる:

  • システム描写のリアルさ

  • 非人間的な論理

  • なのに人間臭い視点

というのは、まさに理系×文学の融合の産物です。

村上春樹というよりは
スタニスワフ・レムや伊藤計劃に近い系譜にあります。


⑦ どんな人にオススメ?

  • 『AKIRA』『BLAME!』が好き

  • シド・ミードみたいな都市が好き

  • 迷宮・巨大構造物が好き

  • 理不尽なシステムに興味がある

  • SF初心者だけど変なのが読みたい

なら、かなり刺さる作品です。

逆に:

  • 分かりやすい恋愛

  • 感動系

  • 日常もの

を求めている人には向きません。


もし気に入ったら次に読むなら

関連路線として:

  • 伊藤計劃『ハーモニー』

  • 円城塔『Self-Reference ENGINE』

  • 小川一水『時砂の王』

  • フィリップ・K・ディック(翻訳)

  • バラード『コンクリート・アイランド』

などはかなり相性が良いです。


もしよければ次に、
✅「ネタバレ込みの深掘り解説」
✅「海外SFとの比較」
✅「横浜駅SFに影響を与えた思想」

これぞれの方向で、さらにディープに解説しますがどれに興味ありますか?


🚉『横浜駅SF』と柞刈湯葉(いすかり ゆば)— 奇想天外な世界観とSF界の注目作家

柞刈湯葉氏の小説**『横浜駅SF』**は、そのぶっ飛んだ設定とシニカルなユーモア、そして本格的なSF要素が見事に融合した作品です。雑学や業界話を交えながら、このユニークな作品と作者について解説します。


📚 作品の概要と雑学

1. 狂気の着想:増殖する横浜駅

  • 設定の核: 本作の最大の魅力は、「絶え間ない改築工事を繰り返す横浜駅が、ついに自己増殖の能力を獲得し、本州の99%を覆い尽くした」という、あまりにも奇想天外な世界観です。

    • 雑学: なぜ「横浜駅」なのか? 横浜駅は、現実でも複数の路線が乗り入れ、複雑で終わりが見えないと言われるほど頻繁に大規模な改築工事が行われることで知られています。この**「永遠に完成しない」**という現実の駅の特性を、究極のSF設定に昇華させたのが素晴らしい点です。

  • ディストピアな社会: 増殖した「横浜駅」内部(エキナカ)では、人々は脳に埋め込まれた交通系ICカード**「Suika」で管理されています。主人公は「Suika」を持たない駅外(エキソト)の住民で、駅への反逆者から託された「18きっぷ」**を手に、広大な駅構内を旅することになります。

  • ユーモアとシリアスの融合: 「横浜駅」「Suika」「18きっぷ」「自動改札」といった日常で見慣れた要素が、終末世界(ポストアポカリプスSF)のシリアスな設定と結びつくことで、強烈なギャップを生み出し、読者に大きなインパクトを与えます。

2. SF用語の遊び心

  • 作中には、JR北日本JR福岡といった独自の勢力が登場します。これは、横浜駅の支配を免れた地域として、実際のJRの区分をSF的なアレンジで取り入れたものです。

  • 「Suika」による管理社会は、典型的なディストピアSFの構図でありながら、日常のツールを用いることでリアリティと笑いを誘います。


🧑‍💻 柞刈湯葉氏と業界話

1. デビューとWeb小説ブーム

  • 業界話:カクヨムコン大賞受賞

    • 『横浜駅SF』は、元々2015年にTwitter上で発表された小説でした。その後、小説投稿サイト「カクヨム」の第1回「カクヨムWeb小説コンテスト」SF部門で**〈大賞〉**を受賞し、書籍化されました。

    • これは、ネット上の斬新な作品が、Web小説コンテストという新たな登竜門を経て、紙の書籍として広く世に出るという、近年のライトノベル・SF業界の流れを象徴する出来事の一つです。

  • 評価の高さ: 本作は、第38回日本SF大賞の最終候補作にも選出されており、単なる「おもしろ設定のライトノベル」としてだけでなく、本格的なSF作品としても高い評価を受けています。

2. 作者の作風

  • 異色のSF作家: 柞刈湯葉氏の作品は、『横浜駅SF』以外にも、『人間たちの話』『まず牛を球とします。』など、**「ラーメンSF」「岩SF」「透明人間SF」**といった、一見すると不条理でユニークな着想を、硬派なSFのロジックとユーモアで展開させるのが特徴です。

  • ペンネームの読み方: 柞刈湯葉は「いすかり ゆば」と読みます。この個性的なペンネームも、一度聞いたら忘れられない、作品世界に通じるユニークさを持っています。


✨ まとめ

『横浜駅SF』は、現実の「カオスな駅」という誰もが知る日常風景を、自己増殖する巨大構造物という壮大なSFテーマに転換した、着想の勝利とも言える作品です。その成功は、Web小説発の才能が既存のSF界に新風を吹き込んだ、業界的な転換点の一つとしても語られます。


他に柞刈湯葉氏の別の作品や、Web小説コンテストのトレンドについてもお調べしましょうか?

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