ご提示いただいた動画「【Pythonの弱点は何?】苦手を知っておくとPythonの理解が深まる!」を要約し、各項目について雑学や業界の背景を交えて解説します。
この動画では、大人気のプログラミング言語である**Pythonの「5つの弱点」**に焦点を当て、その特性を理解することで適切な使い分けができるようになることを目的としています。
1. 型が弱い(動的型付け)
Pythonは実行時に変数の型が決まる「動的型付け言語」です [00:32]。
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動画の解説: コードを書く段階では型が固定されないため、数値を入れるつもりが文字が入ってしまい、計算が意図しない結果(結合など)になるリスクがあります。
Type Hints(型ヒント)もあくまで注釈であり、強制力はありません [01:51]。 -
業界話・雑学: * 大規模開発ではこの「型の曖昧さ」が原因でバグが混入しやすいため、最近の現場では**
mypy**などの静的解析ツールを使って、実行前に型チェックを行うのが一般的になっています。-
逆にこの「型の自由さ」を活かした「ダック・タイピング(アヒル(Duck)のように鳴くなら、それはアヒルだ)」という考え方があり、柔軟な設計を好むエンジニアも多いです。
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2. 処理速度が遅い
C言語やC++などの「コンパイル言語」と比較すると、Pythonは10倍以上遅いと言われています [02:44]。
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動画の解説: Pythonはコードを1行ずつ読み取って実行する「インタプリタ言語」であるため、実行速度に限界があります。そのため、リアルタイム性が重視される対戦ゲームやWeb会議アプリには向きません [03:58]。
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業界話・雑学: * 「Pythonは遅い」と言われますが、AIやデータ分析で使われるライブラリ(NumPyなど)の中身は実はC言語やFortranで書かれているため、計算自体は爆速です。「指示出し(Python)はゆっくりだが、作業員(C言語)は超人的」というイメージです。
3. 並列処理が苦手
複数の処理を同時にこなす「並列処理」の実装が難しい側面があります [04:20]。
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動画の解説: Pythonには**GIL(Global Interpreter Lock)**という仕組みがあり、マルチスレッドを使っても同時には一つの処理しか動かせない「並行処理」にとどまるケースが多いです。マルチプロセスを使えば並列化できますが、メモリ消費が激しくなります [06:12]。
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業界話・雑学: * このGILは長年Pythonの「呪い」とも呼ばれてきましたが、最近のPython 3.13など最新バージョンでは「GILを無効化する(free-threaded Python)」ための実験的な取り組みが進んでおり、業界では大きな注目を集めています。
4. モバイルアプリ開発に向かない
AndroidやiOSのアプリ開発にはあまり使われません [06:30]。
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動画の解説: もともとモバイル用ではないため、リッチなUI(ユーザーインターフェース)の作成やOS独自の機能利用に制限があります。本格的な開発にはKotlinやSwiftが推奨されます [06:55]。
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業界話・雑学: * とはいえ、全くできないわけではなく、動画でも紹介された「Kivy」や、最近では**「BeeWare」、Googleの「Flet」**といった、Pythonでモバイルアプリを作るためのフレームワークも進化を続けています。ただし、主流ではありません。
5. 手続き型のコードになりやすく、大規模開発に不向き
Pythonは多機能(マルチパラダイム)ですが、実際には「手続き型(上から順に書く)」で書かれることが多いです [07:09]。
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動画の解説: オブジェクト指向や関数型の機能が他の言語に比べると不完全な部分があり、大規模プロジェクトではコードの管理が難しくなりがちです [08:20]。
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業界話・雑学: * これは「学習コストの低さ」というメリットの裏返しでもあります。誰でもパッと書いて動かせるため、専門のエンジニアでない研究者やデータサイエンティストにも普及しました。
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「Pythonの禅(The Zen of Python)」という有名な社訓のようなものがあり、その中には「Simple is better than complex(複雑より単純が良い)」という、Pythonらしさを肯定する哲学が含まれています。
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まとめ Pythonは「何でもできる魔法の言語」ではありませんが、**「書きやすさ」と「豊富なライブラリ」**という圧倒的な武器があります。弱点を理解して、速度が必要な場所には別の言語やライブラリを組み合わせるのが「デキるエンジニア」への第一歩と言えそうです。
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