AIと映画 考察【ANON アノン】アンドリュー・ニコル/クライヴ・オーウェン/アマンダ・セイフライド/コルム・フィオール/ロバート・ブラウニング #1385
とても味わい深い引用ですね😊
この言葉は、19世紀イギリスの詩人 ロバート・ブラウニング の長編劇詩 パラケルスス に登場する一節として知られています。
"Privacy means..."
「私にとってプライバシーとは、人目につかない場所。」
「私は神にさえ忘れ去られたい。」
映画『アノン(Anon)』では、この一節が現代風に引用され、「究極のプライバシーとは何か」というテーマを象徴しています。
『アノン』とはどんな映画?
2018年公開のSF映画『アノン』は、『ガタカ』『TIME/タイム』で知られる アンドリュー・ニコル が監督・脚本を務めました。
舞台は、
- 人間の視界や記憶がすべて記録される
- 嘘がほぼ存在しない
- 犯罪捜査も他人の記憶を再生して行う
という近未来。
そんな社会で、「記録されない女性(アノン)」が現れることで物語が始まります。
つまり、
「見られない自由は存在するのか?」
という哲学的なSFなんです。
なぜブラウニングの言葉なのか?
映画の世界では、
誰もが24時間監視されています。
すると、
普通なら
「神だけは見ている」
という宗教的発想さえ逆転します。
そこでブラウニングの
"God forget me." (神にさえ忘れられたい。)
という願いが、
究極の匿名性
として響くわけです。
現代風に言えば、
「Googleにも残りたくない」
「AIにも学習されたくない」
「監視カメラにも映りたくない」
という感覚に近いですね。
「神に忘れられたい」は実はかなり衝撃的
19世紀イギリスはキリスト教社会。
普通なら
神に覚えられる ↓ 救済される
ことが幸福でした。
それなのに、
「神からさえ忘れられたい」
と言うのは、
当時としてはかなり大胆な表現でした。
宗教的というより、
「完全な孤独」「完全な自由」
への憧れを表しています。
タイトル『Anon』にも意味がある
"Anon" は
anonymous(匿名)
の略。
英語圏のネットでは
anon
だけで
「匿名の誰か」
という意味で使われます。
映画の主人公には名前がありますが、
彼女は
「記録されない存在」
なので、
まさに
匿名そのもの
を象徴しています。
映画業界の小ネタ
実は監督のアンドリュー・ニコルは、
『ガタカ』
『トゥルーマン・ショー』(脚本)
『TIME/タイム』
など一貫して
「人間はデータ化されても自由でいられるか」
というテーマを描いています。
『アノン』は派手なアクション映画というより、
そのテーマを極端な形まで突き詰めた作品なんです。
この言葉は今だからこそ重い
SNSでは
- 行動履歴
- 購買履歴
- 顔認証
- GPS
- 検索履歴
まで残ります。
だから
「人目につかない場所」
というブラウニングの願いは、
昔は森や山小屋だったかもしれませんが、
今では
「データとして存在しない場所」
という意味にも読めます。
『アノン』はその問いをSFとして描き、
ブラウニングは約190年前に詩として表現していました。
雑学をもうひとつ😊
映画やドラマでこの引用が好まれるのは、「神にさえ忘れられたい」という一節が強い印象を残すからです。ただし、文学研究では、この言葉は単純に「人嫌い」や「逃避願望」を表すというより、「外部からの評価や監視から解放され、自分自身と向き合いたい」というニュアンスを含むと読む解釈もあります。
つまり『アノン』では、この19世紀の詩が21世紀のデジタル監視社会に置き換えられ、「プライバシーとは何か」という普遍的な問いを観客に投げかける象徴として使われているのです。
文学とSFが約180年の時を越えて一本の線でつながる――そこが、この引用のいちばん面白いところだと思います。😊
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