いい流れですね😊 鴻上尚史さんの第三舞台と並べて語られることが多いのが、野田秀樹さんの**「夢の遊眠社」**です。
ただ、両者は同じ「小劇場ブーム」の中心にいましたが、方向性はかなり違いました。
夢の遊眠社とは?
「夢の遊眠社」は、野田秀樹さんが東京大学在学中の1976年に結成した劇団です。東大演劇研究会を母体として始まり、1980年代の小劇場演劇を代表する存在になりました。代表作には『走れメルス』『少年狩り』『野獣降臨(のけものきたりて)』などがあります。
特徴を一言で言うなら、
「言葉がジェット機のように飛び交い、身体が舞台を駆け回る、知的で狂騒的な演劇」
です。
第三舞台(鴻上尚史)との違い
ざっくり言うと、
鴻上尚史・第三舞台
→ 若者の日常、コミュニケーション、時代感覚
野田秀樹・夢の遊眠社
→ 言葉遊び、神話、歴史、夢、アイデンティティ
という違いがあります。
第三舞台が、
「今、この時代をどう生きるか」
を描いたとすれば、
野田秀樹さんは、
「そもそも人間とは何者なのか」
というところまで飛んでいく感じです。
① 最大の特徴「言葉の洪水」
野田演劇と言えば、まず言葉遊びです。
例えば、
同じ音の言葉を変化させたり、
一つの言葉から別の意味へ飛躍したりします。
普通の芝居では、
人物A 「悲しい。」
人物B 「なぜ?」
という流れですが、
野田作品では、
「悲しい」 ↓ 「かなしい」 ↓ 「愛しい」 ↓ 「生きるとは何か」
というように、言葉が連想ゲームのように展開します。
そのため観客は、
「理解する」
というより、
「言葉の波に乗る」
ような感覚になります。
② 身体性がすごい
野田作品では俳優が、
- 走る
- 飛ぶ
- 転ぶ
- 歌う
- 踊る
という激しい動きをします。
これは映画ではなかなか再現できません。
舞台では、
「俳優の肉体そのものが映像になる」
という考え方があります。
野田さん自身も俳優として舞台に立つことで、言葉と身体の結びつきを追求してきました。
③ 物語が迷宮のよう
夢の遊眠社の芝居は、
「分かりやすい一本道」
ではありません。
例えば、
昔話 ↓ 神話 ↓ 現代社会 ↓ 歴史上の事件
が一つの舞台上で混ざります。
観客は、
「これは何の話だ?」
と思いながら進みます。
しかし最後に、
「ああ、最初の話と全部つながっていたのか!」
となる。
これは推理小説にも似た快感があります。
業界雑学①
小劇場なのに巨大化した劇団
普通、小劇場というと、
小さい劇場で少人数の観客に向けて行うイメージがあります。
しかし夢の遊眠社は人気が拡大し、大規模な会場でも公演を行いました。1986年には『石舞台星七変化』三部作で国立代々木競技場第一体育館を使用するなど、小劇場の枠を超えた展開を見せました。
これは当時としてはかなり異例でした。
「地下演劇」が、若者文化の中心へ出てきた瞬間です。
業界雑学②
「ゼロ年代の演劇」にも影響
野田秀樹さんの影響は、その後の演劇界にも大きく、
- 言葉を高速化する
- 古典を現代風に作り変える
- 演劇と社会問題を結びつける
という流れにつながりました。
後のNODA・MAPでは、劇団員を固定する方式ではなく、公演ごとに俳優を集めるプロデュース方式へ移行しました。
業界雑学③
「古典を壊して再生する」
野田秀樹さんの面白いところは、
古典をそのまま保存しないことです。
例えば、
シェイクスピア ↓ 野田流に変換
坂口安吾 ↓ 野田流に再構築
という方法を取ります。
これは音楽で言えば、
クラシック曲をジャズ風にアレンジする
ようなものです。
原作への敬意がありながら、自分の時代の表現に変えるのです。
夢の遊眠社と第三舞台を比較すると…
面白い見方をすると😊
鴻上尚史さんが、
「人間同士がなぜ分かり合えないのか」
を舞台化した人だとすると、
野田秀樹さんは、
「人間とは何なのか、言葉とは何なのか」
を舞台上で実験した人、と言えるかもしれません。
両者とも「言葉」を非常に大切にしますが、
- 鴻上さん → 人と人をつなぐ言葉
- 野田さん → 世界そのものを作り変える言葉
という違いがあります。
1980年代の日本演劇が面白かった理由は、こうした「言葉の格闘技」のような舞台が次々に登場した時代だったからですね😊
0 件のコメント:
コメントを投稿