とても興味深いテーマですね😊 鴻上尚史さんの**劇団「第三舞台」**は、日本の現代演劇史の中でも非常に個性的な存在でした。特に1980年代の「小劇場ブーム」を代表する劇団の一つで、スピード感、若者感覚、社会への違和感、笑いと哲学を混ぜ合わせた作風で人気を集めました。
1. 第三舞台とは何だったのか?
第三舞台は、1981年に鴻上尚史さんが早稲田大学在学中に結成した劇団です。代表作には、
- 『朝日のような夕日をつれて』
- 『天使は瞳を閉じて』
- 『スナフキンの手紙』
などがあります。
名前の由来が面白くて、
- 第一舞台=俳優やスタッフが作る舞台
- 第二舞台=客席(観客)
- 第三舞台=演者と観客が共有する「見えない舞台」
という発想でした。
つまり、
舞台上だけが演劇ではなく、観客との間に生まれる空間こそ演劇だ
という考え方です。
2. 第三舞台の最大の特徴
① とにかくセリフが速い!
第三舞台と言えば、
「早口」 「大量の言葉」 「テンポの速い掛け合い」
です。
普通の芝居なら、
俳優A 「……私は悲しい。」
間。
俳優B 「なぜ?」
というような「間」を使います。
しかし第三舞台では、
A「いや違うんだよ、それはつまりこういうことで、そもそも昨日の話から始めると……」
というように、言葉が洪水のように押し寄せます。
これは1980年代の若者文化、
- 情報過多
- テレビ文化
- コピーライター的言語感覚
- 漫才的リズム
を舞台に持ち込んだとも言えます。
3. 笑いと哲学を同居させる
第三舞台の面白さは、
「笑えるのに、後から考えさせられる」
ところです。
例えば、
登場人物がくだらないゲームをしている。
観客は笑う。
しかし、よく考えると、
「人間はなぜ意味のないことに熱中するのか?」
というテーマが隠れている。
これは単なるコメディではなく、
笑いを入口にして、人間存在を考える演劇
でした。
4. 『朝日のような夕日をつれて』の面白さ
代表作の一つ『朝日のような夕日をつれて』は、第三舞台を象徴する作品です。『ゴドーを待ちながら』を下敷きにした構造や、遊び・待つこと・若者の時間感覚を扱った作品として知られています。
雑学ですが、この作品には1980年代らしい雰囲気があります。
当時は、
- ファミコン
- テレビゲーム
- コピー機
- カラオケ
- 消費文化
などが広がった時代。
「人生の意味を探す」より、
「とりあえず面白いことを作ろう」
という若者文化も強くなりました。
第三舞台は、その空気を舞台化した存在とも言えます。
5. 戯曲の作り方
鴻上作品の特徴は、
キャラクターから作る
というより、
「人間が抱える問い」から作る
タイプです。
例えば、
「孤独とは何か?」
↓
「孤独を感じる人間を配置する」
↓
「会話させる」
という流れです。
6. 映画・テレビ脚本との違い
ここが演劇のおもしろいところです。
映画の場合、
カメラがあります。
監督は、
「ここを見てください」
と観客の視線を操作できます。
しかし舞台では、
観客は自由に見ることができます。
だから演劇では、
- 俳優の身体
- 声
- 空間
- 観客との距離
が非常に重要になります。
業界雑学①
小劇場ブームとは?
1970年代後半〜90年代にかけて、日本では小劇場演劇が盛り上がりました。
代表的な劇団には、
- 第三舞台
- 夢の遊眠社(野田秀樹)
- 劇団☆新感線
などがあります。
特徴は、
「大劇場の古典的演劇ではなく、若者が自分たちの言葉で時代を描く」
ことでした。
業界雑学②
俳優をスター化する劇団
第三舞台は、多くの俳優を輩出しました。
例えば、
- 筧利夫さん
- 勝村政信さん
- 大高洋夫さん
などです。
小劇場では、
「劇団そのものがブランド」
になります。
観客は、
「この役者を見る」
だけではなく、
「この劇団の世界を見る」
ために劇場へ通いました。
業界雑学③
なぜ劇団は解散するのか?
第三舞台は2001年に活動を10年間封印し、その後2011年に封印解除・解散公演『深呼吸する惑星』を行いました。
劇団は家族のようなものですが、
同時に、
- 年齢
- 生活環境
- 表現したいテーマの変化
があります。
若者の怒りを描いていた劇団が、メンバー自身が年齢を重ねると、
「人生とは何か」 「老いるとは何か」
というテーマに変わっていきます。
7. 鴻上演劇の本質
まとめると、鴻上尚史さんの演劇は、
🎭 速い言葉 🎭 若者文化 🎭 笑い 🎭 社会への違和感 🎭 人間の孤独や希望
を混ぜ合わせたものです。
一見すると、
「ふざけている」
ように見えて、
実は、
「人間はなぜ生きるのか」
という非常に古典的な問いを扱っています。
だから第三舞台は、単なる80年代の流行ではなく、今でも語られる存在になったのだと思います😊
ちなみに、鴻上尚史さんの演劇論は、**「コミュニケーション不全」「空気」「孤独」「他者との距離」**という、今回お話しされていたディスコミュニケーションや天邪鬼的な人間関係のテーマとも、かなり深くつながっています。
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